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徒然の日記


by sacados_dagashi

備忘録(平成18年1月7日〜10日・大阪旅行・国立文楽劇場・松竹座)

7日(土)
国立文楽劇場 第二部
『桜鍔恨鮫鞘〜鰻谷の段』
竹本綱大夫、他
『妹背山婦女庭訓』〜
『道行恋苧環』
竹澤団七、竹澤団吾以下の三味線の連弾きが立派。
吉田清之助(橘姫)、吉田玉女(求馬・吉田玉男の代演)、吉田簑助(お三輪)の群舞で扇子を振るところが、揃つてゐて良かつた。
『鱶七上使の段』
竹本伊達大夫の浄瑠璃がスロースターターで、しやがれ声がいつもよりも強く、最初、心配されたが、段段と良くなつていくのが分かつた。
『姫戻りの段』
竹本津駒大夫のいつもの美声を堪能。
鶴澤寛治の三味線も上品。
『金殿の段』
豊竹咲大夫
鶴澤燕二郎(4月に師匠の名前・燕三を嗣ぐが、師匠の三味線を彷彿とさせる弾き方)

前のはうながら下手側の席で、ホールの響きのデッドさが気になる面もあつた。

8日(日)
国立文楽劇場 第一部
『寿式三番叟』
豊竹十九大夫、竹本三輪大夫、竹本津国大夫、豊竹新大夫
豊澤富助、竹澤宗助、竹澤弥三郎、竹澤団吾
吉田文司(千歳)、吉田文雀(翁)、吉田玉女(三番叟)、吉田玉也(三番叟)
他に連れの大夫・三味線
十九大夫は、祝詞を朗朗と謡ひ上げるのが非常に良かつた。
他の大夫も非常な熱演。
三味線では、富助が一枚目であつたが、最初のうちのゆつくりとしたところで、全員を統率するところで少し弱い面も感じたが、替手をきつちりと弾いてゐたところに好感が持てた。
文雀の翁の舞ひの人形遣ひは、落ち着いて上品ではあつたものの、高齢のためか、勢ひを感じられなかつたのが残念。
三番叟の玉女と玉也は、力を出し切る様子のよく分かる熱演。
三味線も三番叟の舞ひをしつかりと支へる、迫力のある演奏。ここでの富助の統率は見事。
三番叟の初めの舞ひは、普段の公演の幕開き前の三番叟の舞ひの三味線の手と振り付けとほぼ同じ。
『太平記忠臣講釈〜七条河原の段、喜内住家の段』
竹本住大夫、他
住大夫の語りの凄さは分かるものの、話が悲惨に過ぎて、観てゐて、いたたまれず、観劇のカタルシスは感じられず、鬱屈の貯まる感じ。
『三十三間堂棟由来〜平太郎住家より木遣り音頭の段』
豊竹嶋大夫、鶴澤清介、他
吉田文雀(女房お柳)、桐竹勘十郎(横曽根平太郎)、吉田玉輝(進ノ蔵人)、他
今回の文楽で何が良かつたと云つても、嶋大夫の木遣り音頭であつた。
以前、東京では他の大夫で聴いたが満足できず、消化不良であつたが、やつと今回、嶋大夫のお陰で納得が出来た。
嶋大夫の朗朗たる声、巧みな節回し、上品なビブラートに酔ひ痴れた。

文楽が終はつた後、日本橋の喫茶店で、大学歌舞研で御指導いただいた役者の嵐橘三郎先生と奇遇。松竹座の昼の部の最初に出てをられるとのこと。

9日(月)
大阪松竹座 昼の部
『源平布引滝〜義賢最期』
橘三郎先生は九郎助で出演。
滑稽味のある老人役。立ち回りでは子供を背負つてゐて、体力的に大変な役。
終演後、楽屋でお話を伺ふ。
幹部では、愛之助の義賢は松島屋の芸風そのままで、なかなかのもの。
澤瀉屋の若手も多く出演。

国立文楽劇場 第一部
『三十三間堂棟由来〜平太郎住家より木遣り音頭の段』
幕見席で。舞台下手側一番後ろ・床の正面の位置で、一番後ろながら音響効果的にいい席であつた。
この時も、嶋大夫の語りを堪能。
木遣り音頭のところで、拍手。

大阪松竹座 夜の部
『神霊矢口渡』
片岡孝太郎(お舟)、板東弥十郎(頓兵衛)、他
孝太郎・弥十郎が仁に合つてゐた。
『仮名手本忠臣蔵〜道行旅路花婿・落人、五六段目』
道行の玉三郎の美しさ、清元の艶麗さ。
五段目では愛之助が定九郎を演じ、スワロフスキーの双眼鏡でつぶさに観る。
初代仲蔵の工夫の朱鞘の大小を差してゐた。
辰之助で有名な先代松緑の演技とも微妙に違つてゐた。型の違ひか。
六段目はまあまあ。仁左衛門はいい男であつた。
『春調娘七種』
長唄は若手出演。

10日(火)
『寿式三番叟』
『三十三間堂棟由来〜平太郎住家より木遣り音頭の段』
幕見席で。
二度、『三番叟』の迫力を、三度、嶋大夫の語りを、しつかりと堪能。
木遣り音頭のところで、わたしだけが拍手。

終演後、1階で十日戎の行事で、今宮戎神社の福娘から人間国宝の方がたへの笹の進呈と、樽酒のふるまひがあつた。一杯、お酒を頂戴し、幸せな気分で帰りの新幹線に乗る。
by sacados_dagashi | 2006-01-11 20:20 | 古典芸能